裂肛とは
裂肛とは、肛門縁から2㎝奥の直腸粘膜までの間が裂けたり、潰瘍ができたりする疾患で、一般的には「切れ痔」と呼ばれています。
裂肛の原因
便を出すときに裂けることで発症します。
特に、便秘で固くて太い便を出したりすると裂けやすいですが、普通の便でも一気に肛門を拡げて排便をすると裂けることがあります。
そのほか、肛門の締まりが強すぎて血液の流れが悪くなって潰瘍ができたりして発症することもあります。
裂肛の症状
症状は、排便時の痛みと出血です。
慢性化すると裂けた部分の奥側に豆粒ほどの肛門ポリープ、外側に見張り疣(いぼ)と呼ばれる皮膚の膨らみができたりします。
さらに、肛門の締まりが強すぎる場合はリング状の輪ができて肛門が狭窄し、排便自体がしにくくなることがあります。
裂肛の治療方法
裂肛の治療方法には保存的治療と手術療法があります。
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保存的治療
生活習慣の改善
過剰な肉類摂取を避けて食物繊維を摂取し便秘になりにくくすること、刺激物の摂取を避けること、
排便時に肛門をゆっくり拡げ、便を一気に出さないようにすること、温水洗浄便座等を使用し強く拭くのを避けることが必要です。
また、肛門を拡げないようにして排便する習慣がつくと、肛門括約筋が硬くなり拡がらなくなって肛門狭窄をきたしますので、排便時には肛門をゆっくり拡げ、肛門括約筋をストレッチすることが大切になります。
薬の治療
便が固い場合は、
便を軟らかくする薬を内服します。
痛みが続くときは鎮痛剤と炎症を抑える成分が入った軟膏等の外用薬を使用します。
肛門括約筋の緊張が強くて肛門が狭くなっている場合は、肛門括約筋の緊張を和らげる薬を内服します。
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手術療法
裂肛は基本的には手術を行わず、保存的治療を優先します。
しかし、裂肛を繰り返して慢性化すると肛門自体が狭くなってしまいますので、その場合は手術が必要になります。
用手的肛門拡張術 (当院で日帰り手術が可能です)
狭くなった肛門を指で拡張します。
側方内肛門括約筋切開術 (当院で日帰り手術が可能です)
緊張の強い肛門括約筋を一部切開し拡張します。
裂肛切除術 (当院で日帰り手術が可能です)
裂肛を繰り返して瘢痕となり、硬くなった部分を切除します。
用手的肛門拡張術や側方内肛門括約筋切開術と併用することもあります。
肛門形成術 (当院で日帰り手術が可能です)
裂肛を繰り返して瘢痕となり、硬くなった部分を切除し肛門部の皮膚を用いて形成します。
ほかの治療法よりも皮膚を切る範囲が広くなるため術後の痛みが強くなります。
当院では、できるだけ手術をしなくて済むよう保存的治療を優先いたします。